地域福祉行政懇談会の開催
秋田県と推進委員会の共催により、「秋田県地域福祉行政懇談会」が開催されました。
要望・意見交換の内容
- 民生委員・児童委員活動への協力促進と定数基準等の整理について(秋田県民生児童委員協議会)
- 災害ボランティアセンターの設置・運営に関する協定の締結等について(市町村社会福祉協議会連絡協議会)
- 全ての子どもが平等に保育を受けるための市町村格差の是正と保育提供体制の維持について(秋田県保育協議会)
- 地域活動活性化に向けた施策展開と活動者への支援について(秋田県民生児童委員協議会・市町村社会福祉協議会連絡協議会)
- 地域における社会資源としての社会福祉施設・事業所等の維持について(秋田県社会福祉法人経営者協議会)
- 生活支援コーディネーターと連携した取組支援について(秋田県社会福祉協議会)
懇談会報告書(詳細版)
県・市町村へ政策要望を行いました
県に対しては行政懇談会を通じて、市町村に対しては書面により政策要望を行いました。県への要望及び回答については懇談会記録を御参照ください。
市町村への要望の概要
民生委員・児童委員活動への協力促進について
要望の内容
首長の立場から、市町村内の企業、法人に対し、民生委員・児童委員(以下、「民生委員」という。)の担い手確保に対する協力及び社員・職員等が民生委員に就任することへの理解と、就労しながら民生委員活動(住民への相談支援や定例会・研修会への出席等)を行う場合の有給休暇・職務免除等の配慮を求めていただくよう要望します。
なお、県に対しても、知事から県内の企業等に対して協力を求めていただくよう別途要望を行うとともに、市町村への要望についてもご理解とご支援をいただくようお願いしております。
要望の背景
○ 近年の様々な社会状況の変化に伴い、地域住民を取り巻く課題が複雑化・深刻化する中、民生委員は地域住民の身近な相談相手、関係機関へのつなぎ役として尽力しています。
○ しかしながら、令和4年12月の民生委員の一斉改選時には県内で253名の欠員が生じており、改選のたびに増加する傾向にあるほか、民生委員の年齢についても高年齢化の傾向が続いています。
○ その大きな要因として、人口減少・少子高齢化の進行に加えて、定年延長等の働き方の変化が挙げられます。今後、民生委員の担い手を安定的に確保していくためには、就労との両立をしやすくする取組が不可欠です。
災害ボランティアセンターの設置、運営に関する協定の締結について
要望の内容
市町村と当該市町村社会福祉協議会との発災時における災害ボランティアセンターの設置及び運営に関する協定締結について、未締結の市町村におかれては、早急に社会福祉協議会等関係機関と協議し、協定を締結していただくよう要望します。また、締結済みの市町村におかれましても、災害救助法改正等に応じた更新を適宜行っていただくよう要望します。
なお、県に対しても、県内各市町村における協定締結の促進にご協力いただくとともに、法改正等に応じた協定の更新について市町村にご助言くださるようお願いをしております。
また、災害救助法の対象経費として「福祉」が明確に位置付けられたものの、同法の対象外となる費目等については、これまでも協議のうえ必要に応じて行政による経費負担をしていただいているところであり、今後も災害の規模等を勘案のうえ、引き続き柔軟な対応をいただけるようお願いします。
要望の背景
〇 災害ボランティアセンターは自治体の要請に基づき設置・運営されます が、発災時の迅速な災害ボランティア支援やその後のスムーズな災害福祉支援などを可能とするためには、経費負担や発災時・復旧期・生活再建期のそれぞれのフェイズにおける各関係機関の役割分担、事務手続きの手順などについてあらかじめ整理したうえで協定を締結しておくことが重要です。
〇 秋田県社会福祉協議会が行った調査によると、令和7年5月31日現在、災害ボランティアセンターの設置・運営に関する協定を市町村と締結していると回答した市町村社会福祉協議会は16か所と、前年度からは大幅に増加したものの、まだ全体の6割にとどまっています。
〇 令和7年の災害救助法等の改正により、「福祉サービスの提供」が正式に法制度の中に位置づけられることとなり、社会福祉協議会職員(応援職員を含む)が行う災害ボランティアセンターの運営支援についても災害救助費、救助事務費の対象となる旨内閣府から示されていますが、運営に係る各種費用(消耗品費、器具什器費、保険料、警備委託費等)等の財政面の手当ては明確になっていません。
将来を見据えた保育提供体制の維持について
要望の内容
人口減少地域においても住民が安心して子どもを産み育てることができる環境を担保するため、市町村が責任を持って地域の保育所と連携し、将来を見据えた保育提供体制の計画的な整備、保育・教育施設の維持等に引き続き積極的に取り組んでいただくよう要望します。
なお、県に対しては、市町村間の格差の是正及び小規模自治体等に対する財政面も含めた支援を講じていただくよう要望しています。
要望の背景
〇 県が実施した「令和6年度保育施設・保育士等実態調査」によると、障害児を受け入れるに当たって加配した職員に対する市町村からの支援が「十分ではない」との回答が74.6%で、うちその理由として「補助金額が加配保育士に係る人件費と比較して少ないため」との回答が83.3%と非常に高くなっています。
〇 また、自治体によって、子ども一人当たりの補助金額に大きな開きが見られるなど、受けられるサービスに格差が生じていますが、どうしても小規模な自治体単独では財政的にも厳しい面があると考えられることから、そうした自治体に対しては支援が必要です。
〇 秋田県においては、令和6年1月~12月の出生数は3,282人で、前年から329人の減となっており、この減少幅が続くと、あとおよそ10年で生まれる子どもがいなくなるという危機的な状況です。
〇 出生数が減少している状況下であっても、住民が安心して子どもを産み育てるために不可欠なインフラとして、保育・教育施設を地域社会において維持していくことは、自治体の存続にも関わる極めて重要な課題となります。